concept

スナックは、偽りの場である。
偽りがあるからこそ、そこでは人間の本性が露骨に表出する。

スナックでは、女性が席を共にすることに価値がつけられ、好き嫌いと心変わりの激しい相手に対し、より高い価値を得るために嘘をつき、嘘で彩られた美を演出する。

矛盾や歪みの掃き溜めであり、現代社会においてはなくなることのない必要不可欠な場所である。
それは、楽しいはずなのに、虚しく、寂しい空間でもある。

価値のつけられないものに価値をつけるという矛盾は、アートの世界においても同じことがいえる。
作品とは個人の感情の表出であり、その作家の人間性そのものといってもよい。人間性に価値をつけることなど、できるはずがない。
それでは、何故、作品に価値をつけるのか。
アーティストは価値を得たいのだろうか。

この疑問に対して私たちが出したアーティストの立場からの回答は、「生きるため」、「創り続けるため」である。
無名の若手アーティストにとって、生活していくことは一番身近な切迫した問題である。
そのため、作品に一応の価値をつけ、それを売って収入を得るというのがこれまでのアーティストの通常の手段であった。
しかし、このままではこの矛盾はいつまでたっても解消されることはない。

我々はこの問題に対し、スナックの仕組みを取り入れることにより、アート業界の矛盾を浮き立たせ、アーティストの新たな生き方を提示することを試みる。

ギャンソンゴリラでは、アーティストはホステスに扮し、観客と席を共にすることで収入を得ることとする。
作品に偽りの価値が付与されることを防ぐため、我々は作品の販売は行わない。
そして、それを展覧会の新たな仕組みとして提示する。

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